スキャナ保存制度について③
前回に引き続き、スキャナ保存制度についてご説明致します。
今回が最終回で、スキャナ保存制度の要件についてまとめます。
(5)スキャナ保存制度の要件
1 入力要件 (スキャン・タイムスタンプ付与の期限)
① 早期入力方式
・経理担当者等が1週間以内に入力が必要
・スマホ等使用で本人がスキャンの場合は3日以内にタイムスタンプ付与が必要
② 業務処理サイクル方式
・業務処理に係る通常期間(1ヶ月以内)を経過後、1週間以内に入力が必要
※上記期限を超過した場合、要件を満たさないため、紙での保存が必要
③ 適時入力方式
・一般書類 (見積書・注文書・自己が作成した納品書等) のみ可能
・一般書類は入力期間の制限なしで過去の書類もスキャナ保存可能
2 適正事務処理要件 (重要書類に必要な要件)
① 相互牽制
・A (受領者) 、B (経理担当者(内容確認))、C(検査担当) それぞれ別の者が各事務を行う
ことが必要
・ただし、小規模企業者の特例を受ける場合は、下記定期的なチェックを税務代理人が
することで相互牽制は不要
② 定期的なチェック
・各事務の処理内容を確認するため、最低年1回以上の検査が必要
・定期検査終了まで、原本保存が必要
③ 再発防止策
・処理内容に不備があった場合、報告・原因究明及び改善の検討を行う体制が必要
※必要に応じて再発防止委員会を設置
3 電子計算機処理システムの要件
① スキャナ
・スマホ・デジカメ等が対象に追加 (解像度・階調要件あり)
② タイムスタンプ
・1ファイルごとにタイムスタンプ付与が必要
※複数のファイルに1つのタイムスタンプ付与も認められている
③ 読取情報の保存
・解像度・階調・大きさの情報を保存することが必要
④ ヴァージョン管理
・訂正・削除の事実・内容を確認できることが必要
4 入力者等の情報の確認
・入力者、監督者の情報を確認できることが必要
5 スキャニングした書類と帳簿との関連性の確保
・電磁的記録の記録事項と、帳簿の記録事項との間で、相互にその関連性を確認できること
(領収書等と帳簿の双方に伝票番号等を付けるなど)が必要
6 可視性の確保
・電子計算機、プログラム、14インチ以上のカラーディスプレイ、カラープリンタ、
これらの操作説明書を備え付け、以下の状態で速やかに出力可であることが必要
① 整然とした形式
② 当該国税関係書類と同程度に明瞭
③ 拡大又は縮小して出力可能
④ 日本工業規格に規定する4ポイントの大きさの文字を認識可能
7 システムの概要書等の備付け
・次の書類の備え付け(オンラインマニュアル等も可)が必要
① システムの概要を記載した書類 (自社開発プログラムの場合)
② システムの開発に際して作成した書類 (自社開発プログラムの場合)
③ システムの操作説明書
④ 事務手続を明らかにした書類
※処理を他者に委託している場合には、委託に係る契約書
8 検索機能の確保
・以下の要件を満たす機能が必要
① 取引年月日、勘定科目、取引金額その他の帳簿の書類に応じた主要な記録項目を
検索の条件として設定できること
② 日付・金額に係る記録項目については、範囲を指定して条件設定できること
③ 2以上の任意の記録項目を組み合わせて条件設定できること
スキャナ保存制度では上記のような要件が必要となります。
是非ご活用ください。