積立型NISAとジュニアNISA
以前から、非課税の投資制度であるNISA制度がありますが、平成30年より、積立型のNISA制度が創設されました。昨年一度触れましたが、具体的な金融商品が決定しましたので、未成年の方が利用できるジュニアNISAと合わせて、簡単にご説明させていただきます。
【 制度の概要① 】
《 従来のNISA 》
■ 期間 2023年まで
■ 非課税限度額 年間120万円
■ 非課税期間 最長5年間
■ 対象金融商品 上場株式や株式投資信託など
■ 投資方法 上限内で自由に買付可能 ( 積立も可 )
《 積立型NISA 》
■ 期間 2018年より2037年まで
■ 非課税限度額 年間40万円
■ 非課税期間 20年間
■ 対象金融商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 (※)
■ 投資方法 積立
(※) 公募株式投資信託の場合、販売手数料ゼロ、信託報酬一定水準以下など、
一定の要件を満たすことが必要です。
平成30年2月2日時点で、公募投信141本、ETF3本が対象となっています。
( 金融庁ホームページより )
詳しくは金融機関にお問い合わせください。
《 従来のNISAとの比較 》
■ 積立型NISAと従来のNISAはどちらか選択適用です。
上記の通り、従来のNISAは非課税限度額が120万円です。それに比べると積立型NISAは限度額が40万円と1/3になっています。その代わり、非課税期間が20年間と、従来のNISAの4倍になっております。
それぞれ非課税期間いっぱいの期間、限度額を投資したとすると、
従来型 120万円×5年= 600万円
積立型 40万円×20年= 800万円
と、総額では積立型NISAの方が非課税で投資できる金額が大きくなります。
従来のNISAは口座だけ作成して実際に投資を行っていない人が多く、また、投資を行っている人でも120万円の非課税限度額を使い切る人は少ないのが現状です。そして、2023年で終了する予定の制度です。( 積立型NISAに一本化される予定。)
それに比べると積立型NISAは少額で長期間を積立により投資することで、リスクも分散され、使い勝手のいい制度であると言えます。
《 注意点 》
投資ですので、損失が出るリスクはあります。損失が出た場合、証券会社の特定口座などの利益との損益通算は出来ません。
また、「積立型NISA」との名称の通り、投資方法は積立方式に限られます。金融商品も一定の投資信託に限られますので、上場株式などの直接投資を行いたい方は従来のNISA制度を選択して頂くことになります。
【 制度の概要② 】
《 ジュニアNISA 》
未成年の方が受けられる制度です。この場合の未成年とは、その年の1月1日で、0歳から19歳の方です。
■ 期間 2016年から2023年まで
■ 非課税限度額 年間80万円
■ 非課税期間 最長5年間
■ 対象金融商品 上場株式や株式投資信託など
■ 運用管理者 口座開設した未成年の方の二親等以内の親族 (ご両親や祖父母の方) が
管理することになります。
金融機関によって異なりますので、ご確認下さい。
《 注意点 》
口座はお一人1口座に限られます。複数の金融機関で口座を開設することはできず、別の金融機関に口座を移したいときは、既にある口座を廃止する必要があります。また、口座を廃止すると、その時点でそれまで非課税だった利益に課税されます。
口座で運用することができるのは、未成年の方ご本人のものである資金に限られます。通常未成年の方はお金をお持ちでないので、ご両親や祖父母の方が贈与をして、そのお金を入金して運用していただくことになります。
非課税で運用できるのは年間80万円までですので、その範囲内の贈与でしたら、通常贈与税はかかりません。しかし、その未成年の方が、他にも贈与を受けて、贈与を受けた額が年間110万円を超えた場合には、贈与税がかかることになりますので、ご注意ください。
また、口座を開設した未成年の方が、18歳になるまでに、払い出しを行うと、口座を廃止することになり、やはり過去の利益に課税されます。
【 終わりに 】
積立型NISAは、従来投資を行っていなかった方にも資産運用を行ってもらうことを目的とした制度です。
個人型確定拠出年金(iDeco)など、既にある制度と比較検討をされて、ご自分に向いているかどうかをご判断していただいてから、リスクについてもご考慮の上、ご運用下さい。
ジュニアNISAは、上記の通り、未成年の方に贈与をして、そのお金を運用する制度ですので、それ以外に贈与があった場合には合計額に対して贈与税がかかる可能性がありますので、ご注意ください。