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家族信託について②

前回に引き続き、家族信託についてご説明致します。
今回は家族信託のメリット・デメリットについてのご説明です。

3.家族信託のメリット・デメリット

 (1) 家族信託のメリット

   ① 成年後見制度に代わる財産管理が可能に
    ご家族間の財産管理については成年後見制度がありますが、次のような制限があります。
     ・毎年家庭裁判所への報告義務がある
     ・財産が裁判所の管理下に置かれ、本人の判断能力が衰えるまで後見人が財産管理
      できない 等

    これに対し、家族信託ではご本人が健在のうちに、希望する方を受託者にすることで、
    財産の管理・処分が可能になります。

   ② 財産管理が容易に
    信託を設定した時点で受託者に財産管理の権限が与えられるので、すぐ財産管理を行う
    ことができるようになり、いちいち成年後見人の同意を得る必要が無くなります。
    また、上記贈与税のところで触れた通り、委託者=受益者の場合、贈与税はかからずに、
    受託者に財産管理の権利を移すことができます。

   ③ 財産を誰に引き継ぐかを前もって決めることが可能に
    家族信託では、最初に指定した受益者が万一亡くなった場合に備えて、次の受益者を指定
    することもできます。
    従って、ご高齢の方などを受益者にして、その方が委託者より先に亡くなってしまい、
    その時点で委託者の判断能力が低下している場合でも受益者の引き継ぎが容易です。
    また、委託者ご本人が亡くなった後に、受益者が亡くなる、いわゆる二次相続の場合も、
    事前に受益者を決めることで、相続する人を決めておくことが可能になります。

   ④ 倒産隔離機能
    信託財産は委託者の名義ではなく、受託者の名義になりますので、委託者が多額の債務を
    負った場合でも、差し押さえの対象になりません。
    また、信託財産は、受託者固有の財産とは独立して取り扱われますので、受託者の差し
    押さえの対象ともなりません。
    ただし、委託者=受益者の場合、信託の受益権は受益者(=委託者)の財産に含まれます
    ので、差し押さえの対象になります。
    また、債務の弁済を免れる目的で信託を利用した場合には信託を取り消される可能性が
    ありますので、ご注意下さい。

   ⑤ 手続きが容易
    1)信託契約
      委託者と受託者で内容を決定し、契約書を作成すれば成立します。
    2)委託者の遺言
      遺言書に記載しておけば、その遺言書が民法に定められた方法に従っていれば、
      その方が死亡した時に信託が成立します。
    3)委託者兼受託者が行う信託宣言(自己信託)
      これは委託者=受託者の場合に採用される方法で、公正証書などの確定日付がある
      書面に記載する必要があります。

    このように、家族信託は、手続きが容易です。また、信託契約の場合は、契約に費用は
    かかりません。
    ただし、公正証書を利用する場合には、信託財産の評価額に応じて手数料がかかります。
    将来、家族間で揉めないよう、念のため、公正証書を利用した方がいいかもしれません。

 (2) 家族信託のデメリット

   ① 成年後見制度や遺言でないと出来ない場合がある
    家族信託は特定の財産の管理・処分について定めた制度ですので、成年後見人のように
    身の回りの世話や様々な契約の管理を包括的に行ったり、ご本人の行った契約を取り消し
    たり、というような権限はありません。
    従って、認知症等に備えるには成年後見制度と合わせてご利用して頂くことが必要です。
    また、家族信託は信託財産の管理・処分は決められますが、遺言は財産の相続・遺贈に
    よる行き先を直接決めることができます。

   ② 受託者を誰にするか
    家族信託は、財産の管理・処分をできる、信頼できる家族がいることが前提になります。
    受託者に財産の名義が変わりますので、設定する時にご家族で話し合って頂くことが必要
    です。

   ③ 贈与税の負担
    既に述べた通り、委託者≠受益者の場合、贈与税が課税されます。
    贈与税は多くの場合、相続税より負担が大きくなりますので、ご注意下さい。

   ④ 遺留分減殺請求の可能性
    家族信託で、委託者ご本人の死亡後の受益者を設定した場合、相続が発生したときに、
    遺留分減殺請求の対象となる可能性があります。
    (これについてははっきりした判例がまだ無いようです)
    信託の設定時に、ご家族で話し合って頂くことが必要です。

4.まとめ

  家族信託は、生前に財産の管理・処分を次の世代のご家族に託すことができる制度です。
  不動産などの財産が多く、ご高齢になって、将来の財産管理に不安を感じる方はご活用を
  ご検討されてはいかがでしょうか。
  その際には、どなたを受託者にするか、どなたを受益者にするかなどを、必要に応じて弁護士
  や司法書士などの法務の専門家や会計事務所などにご相談下さい。