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家族信託について①

 日本は2007年から超高齢社会 ( 65歳以上の高齢者の方の割合が21%以上の社会、2017年は27.3% ) になっています。高齢者の方は認知症などにより判断能力が著しく衰えてしまうリスクも高まります。そうなると、自分の財産を管理、処分するのに制約ができてしまいます。
 そこで、今、家族信託に注目が集まっています。家族信託を行えば、親 ( 委託者(※1) 兼 受益者(※2) ) の不動産などを子など ( 受託者(※3) ) が管理、処分する権限を有することとなり、財産の有効活用が図られることとなります。
 今回は、家族信託の概要と、家族信託に関する税制などについて、基本的な事項を説明します。

1.家族信託の概要

 信託とは、委託者が受託者に対して財産権の移転その他の処分をし、受託者が信託目的に従って、受益者のために信託財産の管理、処分などをすることをいいます。
 その内、家族信託とは、委託者が自分の老後や介護などのために、保有する不動産や預貯金などを、信頼できる家族に託して管理、処分してもらう信託のことです。

 通常の信託は受託者を信託銀行などに設定し、年金信託や投資信託などを行います。信託を事業として行うのは、信託銀行、信託会社しかできないことになっています。
 しかし、信託銀行などは、普通は個人の自宅などを受託することはないため、信頼できる家族に受託者になってもらい財産を管理しよう、というのが家族信託の考え方です。

2.家族信託の税制

 ( 1 ) 贈与税
   上図で、委託者 = 受益者の場合と、委託者 ≠ 受益者の場合で、税金がかかるかどうかが
   異なります。
   委託者 = 受益者の場合、贈与税は関係ありません。
   委託者 ≠ 受益者の場合、信託の利用によって、委託者から受益者へ贈与が行われたものと
   みなされ、受益者に対し贈与税が課税されます。
   ( 委託者が死亡したことに起因してその信託の効力が生じたときは、遺贈により取得した
    ものとみなされ、相続税が課税されます )

 ( 2 ) 所得税
   家族信託は、いわゆる「受益者等課税信託」に該当します。信託財産に属する資産及び負債
   は受益者が有するものとみなし、信託財産による収益及び費用は受益者の収益及び費用と
   みなします。
   例えば、信託財産をアパートにしたような場合、アパートから生じる収益は受益者の不動産
   所得の収益になりますので、受益者が確定申告を行う必要があります。
   委託者 = 受益者の場合、委託者が以前から行っていた申告を、引き続きしていただくことに
   なります。
   委託者 ≠ 受益者の場合、申告する方が変わることになりますので、ご注意下さい。

次回は、家族信託のメリット・デメリットについてご説明致します。

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※1 委託者
 自分の財産の全部又は一部を信託財産として、自分の固有の財産から切り離して、信託目的を
 決めて、その目的に沿って管理や処分をさせる者です。

※2 受益者
 信託財産が生み出す成果や、信託財産を処分した対価、又は信託財産そのものを受け取ることが
 できる者です。

※3 受託者
 委託者から引き受けた信託財産を、定められた信託目的に従って管理し、処分する者です。