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被相続人の居住用家屋 ( 空き家 ) を売ったときの特例

1 はじめに

  数年前から空き家が社会問題として取り上げられ、2015年2月に空き家対策特別措置法が施行
  されました。税法でも表題のような譲渡所得の特例 ( 所得税 ) 、固定資産税の特例、小規模
  宅地等の特例 ( 相続税 ) などが制度化されました。このたび、2019年度の税制改正で、空き家
  を売ったときの特例が見直されました。
  今回は空き家関係の税制の制度を簡単にまとめるとともに、改正の概要をお伝えさせていただ
  きます。

2 これまでの制度

 (1) 空き家対策特別措置法と固定資産税の特例

   倒壊などの恐れがあったり、著しく衛生上有害となる恐れがあるなど、放置すると有害な空
   き家を特に「特定空き家」と市町村が認定することになりました。
   通常、家屋が建っている敷地の固定資産税は、空地にかかる固定資産税の1/6になりますが、
   「特定空き家」に認定された家屋の敷地については、1/6の特例を外されます。
   つまり、通常の家屋の敷地の6倍の固定資産税が賦課されてしまいます。
   また、自治体が所有者を特定して、強制的に解体を命じられます。

 (2) 小規模宅地等の特例
  
   被相続人 ( 相続において亡くなった方 ) が相続開始の直前において居住の用に供していた、
   ということが特定居住用宅地等の特例 ( 最大330㎡まで、宅地等の評価額から80%を減額
   することができます ) の適用要件です。
   しかし、老人ホームなどに住んでいて、居住の用に供していなくても、下記の要件を満たせ
   ば、特定居住用宅地等の特例の適用を受けることができます。
  
  《 要件 》
    ① 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続開始の直前まで老人
      ホーム等に入所していたこと
    ② 被相続人の居住の用に供されなくなった後に、事業の用、貸付の用又は新たに被相続人
      等 (※1) 以外の人の居住の用に供されていないこと
 
    (※1) 被相続人と生計を一にする親族が居住した場合には、特定居住用宅地等の特例を
       受けることができます。

   この特例は2014年1月1日以後の相続又は遺贈に対して適用されています。
  
 (3) 空き家を売ったときの特例
  
   相続又は遺贈により取得した、下記の要件を満たす家屋又はその敷地を2016年4月1日から
   2019年12月31日までの間に譲渡して、一定の条件にあてはまるときは、譲渡所得の金額か
   ら、最高3,000万円まで控除することができます。
 
  《 要件 》
    ① 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたこと
    ② 1981年5月31日までに建築されたこと
    ③ 区分所有建物登記がされている建物でないこと
    ④ 相続開始の直前において被相続人以外に居住していた方がいなかったこと
    ⑤ 相続開始から譲渡のときまでに、事業、貸付、居住の用に供されていなかったこと

3 空き家を売ったときの特例の改正

 (1) 概要

   上記 2 (3) で記載した譲渡所得の特例について、従来は老人ホーム等に入所をしていると
   要件①「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたこと」を満たさないと
   判定され、適用を受けることができませんでした。
   今回の改正で、下記の要件を満たせば、一定の条件を満たす場合に相続開始の直前において
   被相続人の居住の用に供されていたものとして、この特例の適用を受けることができます。

 (2) 要件

   ① 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続開始の直前まで老人
     ホーム等に入所していたこと
   ② 被相続人の居住の用に供されなくなった後に、その家屋について、被相続人による一定の
     使用 (※2) がなされ、かつ、事業の用、貸付の用又は新たに被相続人等以外の人の居住の
     用に供されていないこと
 
   (※2) 被相続人による一定の使用とは、その家屋が被相続人の物品の保管その他の用に供さ
      れることをいいます。

 (3) 適用時期

    2019年4月1日から2023年12月31日までに行う家屋又はその敷地の譲渡について適用され
    ます ( 4年間延長されました )。

4 終わりに

   老人ホーム等に入所した後の空き家を相続などして譲渡した場合も、相続税の特定居住用宅
   地等と同様に特別控除の適用を受けることができるようになりました。
   ただし、特定居住用宅地等の特例では2 (2) の (※2) に記載の通り被相続人と生計を一に
   する親族が居住していても適用対象ですが、今回の改正では空き家であり、なおかつ「被相
   続人の物品の保管その他の用に供されること」という要件がありますので、適用の際には
   ご注意ください。