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スタッフとのコミュニケーションで一番大切な事は何か?

 診療所を経営していくに当たり、人事に関する悩みというのは尽きることがありません。それは、相手が「人」だからこその悩みであり、「人」だからこそ、院長先生の考え方・関わり方によっていかようにも変化していきます。
 例えば、診療所で行っている朝礼に、ほんの少し(5秒程度)遅刻してくる年長スタッフがいたとします。このスタッフにどのように接するか考えてみてください。
  ① 全員の前で注意をする
  ② 個別に呼んで注意をする
  ③ ほんの少しであるため大目に見る
  ④ 本当は参加して欲しいが、年長スタッフには言いにくいので様子を見る

 診療所の先生方に聞いてみると、実際には③か④を選択する場合が多いのですが、これは良いコミュニケーションとは言えず、院長先生自らが人事トラブルを招く瞬間でもあります。この③と④は、院長が遅刻してきたスタッフに気を遣っていたり、温情により考えたものですが、本当に温情をかけるべきなのは、早く出勤して朝礼に出ているスタッフであることを忘れてはいけません。サッカーに例えると、「キーパー以外は手を使ってはいけない」というルールであるにも関わらず、「ちょっと手を使っただけ」の選手に対して反則を取らなければ、全選手はルールを守る必要がなくなり、試合になりません。
 ルールを無視するスタッフを無条件に優遇するのは優しさではありません。「年長者だから」「ほんの少しだから」と、そのスタッフに指導が出来ない背景には、「ムッとされて、その後の業務がやりにくくなったら困る」「言っても聞いてくれるか分からない」というようなマイナスの意識が生じています。しかし、マイナスの意識からコミュニケーションを取ることを拒むのではなく、プラスの発想で指導していくことが診療所全体を軌道に乗せるために必要なことであると意識してください。

 具体的な方法として、最初の4つの選択肢で言うのであれば、まずは②から。朝礼後すぐにスタッフを呼び出し、遅刻した理由を聞き、余裕を持って出勤するように指導します。そして指導してもそれが続くのであれば、①を実行し、全員の前で戒める。よほどのことが無い限りは②→①の順番で行ってください。「スタッフは態度を改めてくれる」「なぜ朝礼が必要なのか分かってくれる」とプラスの意識でスタッフを信じることがポイントです。恐る恐るでは伝わらない。真剣にコミュニケーションを取れば、時間はかかったとしても必ず分かってくれます。言わないことが優しさなのではなく、それは冷たさなのです。スタッフのことを「信じられるか」「信じられないか」でスタッフの成長が180度変わり、日々の業務や労務管理のやり易さが変わります。

 大切なのは、スタッフとコミュニケーションをとること。そしてその上で一番大切なのは、「スタッフを信用すること」です。一緒の診療所で働くことになった、その「縁(えん)」を大切にしてください。