メニュー

解雇・退職勧奨・退職の対応

 スタッフを採用すれば、必ず退職する場面が訪れます。この退職は、「事実」としては一つですが、自己都合・定年・契約期間満了・退職勧奨・解雇等、退職の「理由」は一つではありません。どの退職理由であっても、その方法と事前準備を間違うと労使トラブルとなる可能性を秘めているため注意が必要です。

まず、退職の定義には次の3つがあります。
(他にも定年等ありますが、今回はこの3つの例を挙げさせて頂きます)

① 「自己都合退職」は、スタッフ側からの一方的な契約の解除
② 「退職勧奨」は、労使間の合意退職 (院長が退職を勧め、スタッフが合意すること)
③ 「解雇」は、院長側からの一方的な契約の解除

 解雇は極力避け、改善する方向に進める方が良いですが、そもそも解雇をされたスタッフがどのような行動をとるのか考えてみると、そのリスクの高さが分かります。まず、スタッフからしてみると、解雇とは生活の保障たる給与が心の準備も無く支払われなくなることです。次の職がすぐに決まるとも限らない世の中ですので、「なんとかしなくては」と自分の身を守る法律が無いか調べたり、周りの知人に聞いて回ったりします。そして、「なぜ自分だけこんな目にあうのか」と心に大きな打撃を受け、周りの人に自分には非が無いことを伝え、その同情を得ようとします。
 実際に解雇をした診療所の事例として、他のスタッフや近隣住民に「私は何も悪くないのに解雇された。しかもそれは突然で、私は生活が出来なくなって困っている。院長は非情な人間である」と吹聴されたという事がありました。そのスタッフ側の話しか聞かない人は、その話を鵜呑みにしてしまいがちですので、院長の信頼性が損なわれることになります。また、弁護士を立て「不当解雇である」と、慰謝料や在籍していたら支払われるはずだった賃金を請求されたという事例もあります。「辞めさせられた」という気持ちは、マイナスの効果しか生みません。退職勧奨であっても、それが「強制」と取られれば全く同じリスクを背負うことになるため、やはり、解雇はよほどの理由が無い限りは避け、改善の道を選ぶ必要があります。

 自己都合退職であっても、「いきなり辞められて人がいなくて困る」というトラブルが発生するため、自己都合退職のルールを事前に就業規則等に定めて周知していなければなりません。ルールとは、何ヶ月前に申し出るのかということや、引継ぎのルール等です。

 お互いが感情のままに「退職」という道を選ぶと、診療所へのリスクは高くなります。安定した診療所経営の為には、スタッフの「退職」にどう対処するべきか。起こってから考えるのではなく、事前に考えることも院長の役目です。
 人事トラブルは、どの診療所でも同じ様な事が起こりえます。退職だけではなく、日常のトラブルとはどんな場面で起こるのかを知り、事前にトラブル発生の予防対策を立てて欲しいと思います。