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新型コロナウィルス感染症緊急経済対策における税制上の措置について(3)

ここでは、前回に引き続き、消費税関連の特例などについて述べさせていただきます。

7 消費税の課税選択の変更に係る特例

(1) 課税事業者の選択制度の概要

消費税では通常、2年前の課税売上が1,000万円以下なら課税事業者にはなりません。しかし、免税事業者でも、「課税事業者選択届出書」を課税期間(個人で商売をされる方はその年、法人で商売をされる方は事業年度をいいます。)が開始する前に提出することにより、課税事業者になることができます。
課税事業者を選択した場合には、通常2年間(一定の設備投資を行った場合には3年間)課税事業者を続ける必要があります。
課税事業者になる場合も、課税事業者をやめる場合も、課税期間が開始する前に届出書を提出する必要があります。

(2) 特例

新型コロナウィルスの影響により、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間のうち、任意の1ヶ月以上の期間の事業の収入が、前年の同時期と比べて、おおむね50%以上減少している方(以下、「特例対象事業者」といいます。)は、税務署の承認を受けることで、注)特定課税期間以後の課税期間について、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する、又は選択をやめることができます。

注)特定課税期間 新型コロナウィルスの影響により事業収入が著しく減少した期間を含む課
  税期間をいいます。

課税事業者を選択する場合
 法人の場合 特定課税期間の末日の翌日から2月以内
 個人事業者の場合 特定課税期間の末日の翌日から3月以内

課税事業者の選択をやめる場合 特定課税期間の確定申告書の提出期限までに

なお、個人事業者の場合、消費税の確定申告書の提出期限は通常その年の翌年3月31日ですので、選択する場合も、選択をやめる場合も、翌年3月31日が提出期限になります。

申請する場合には、「特例承認申請書」に、収入の著しい減少があったことを確認できる書類を添付して、提出していただくことが必要になります。また、あわせて「課税事業者選択(やめる場合は不適用)届出書」を提出してください。

なお、この特例により、課税事業者を選択する場合、通常なら2年間は課税事業者を続ける必要がありますが、1年間だけ課税事業者になり、その翌期は免税事業者になることもできます。
その場合、最初の承認申請書とは別に、改めて、「特例承認申請書」と、「課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要がありますので、ご注意ください。

また、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合、そもそも免税事業者になることはできませんのでご注意ください。

なお、設立時の資本金が1,000万円以上の新設法人などが調整対象固定資産を取得した場合や、高額特定資産の仕入れなどを行った場合、高額特定資産である棚卸資産等について棚卸資産の調整措置の適用を受けた場合などは、3年間納税義務が免除されません。
しかし、特例対象事業者となった場合には、納税義務の免除の特例不適用承認申請書に、収入の著しい減少があったことを確認できる書類を添付して、提出していただくことで、3年間納税義務が免除されない制限を解除することができます。

消費税の課税事業者を選択するかどうかは、大きな金額の納税が必要かどうかに影響する可能性があります。この特例のご利用が可能か、可能な場合、有利か不利かは慎重にご検討ください。

 

8 住宅ローン減税の適用要件の弾力化

(1) 住宅ローン減税の特例の概要

住宅ローン減税は、消費税が10%に引き上げられたことに伴い、消費税10%で新築又は購入して、令和2年12月31日までに入居すれば、通常10年間のところ、13年間受けられる特例があります。

(2) 適用要件の弾力化

新型コロナウィルスの影響により、入居が遅れた場合で、注文住宅なら令和2年9月30日までに契約し、分譲住宅や増改築なら令和2年11月30日までに契約して、令和3年12月31日までに入居すれば、令和4年3月15日までに確定申告を行うことにより、13年間受けられます。

なお、既存住宅を取得して増改築等を行った際の住宅ローン減税についても、
増改築等の契約を
・既存住宅の取得の日から5ヶ月後
・令和2年6月30日 
のいずれか遅い日までに締結し、その増改築等後の入居が新型コロナウィルス等の影響によって遅れた場合、増改築等の完成後6ヶ月以内に入居すれば、適用が受けられます。

 

9 文化芸術・スポーツイベントのチケット払戻しを受けない方の寄附金控除の特例

(1) 概要

新型コロナウィルスに関する政府の自粛要請を受けて、多くのイベントが中止等されました。
これらのイベントに関するチケットの払戻しを受けないことを選択した方は、その金額を寄附とみなして、寄附金控除が受けられるようになりました。

(2) 手続き

まず、イベントの主催者の方が文化庁・スポーツ庁に申請して、対象となるイベントを指定します。
対象イベントは、順次文化庁・スポーツ庁のホームページに記載されます。

次に、払戻しを受けないことを選択された方は、その旨をイベントの主催者の方に連絡してください。
主催者の方が、「指定行事証明書」と「払戻請求権放棄証明書」を発行されます。

確定申告の際に、その証明書を添付(電子申告も可能です)していただけば、寄附金として所得税・住民税の税額が少なくなります。

確定申告の際に税額が少なくなる、という制度ですので、その方の所得や扶養親族の方の人数などによって、減少する金額も変わります。

 

10 おわりに

ここまで3回に分けて税制上の措置の主な項目について説明してきました。
税制上の措置の他にも各種助成金や給付金、貸付に係る利子補給など、様々な制度がありますので、ご利用していただいて、資金繰りや収益の補てん、節税にお役立てください。