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所得控除の改正


1 はじめに

    3月27日に税制改正法案が成立しました。ここでは、所得税の寡婦控除などの改正と合わ
    せて、2018年に成立して2020年から適用される所得税の基礎控除などの改正について
    簡単に説明させていただきます。


2 未婚のひとり親(注)に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し

  (注)ひとり親…以下、生計を一にする子(総所得金額が48万以下)を有する単身の方を
     言います

 (1)改正前

    ①未婚のひとり親(男女を問わず)
      未婚の方の場合、ひとり親であることに伴う所得控除はありませんでした。

    ②婚姻後配偶者と死別された女性
     a)扶養親族なし、又は子以外が扶養親族
       一般の寡婦として、27万円の所得控除を受けられました。
     b)ひとり親
       イ)合計所得金額が500万円以下
        特別の寡婦として、35万円の所得控除を受けられました。
       ロ)合計所得金額が500万円超
        一般の寡婦として、27万円の所得控除を受けられました。

    ③婚姻後配偶者と離別された女性
     a)扶養親族なし
       扶養親族がいない場合、離別に伴う所得控除はありませんでした。
     b)子以外が扶養親族
       一般の寡婦として、27万円の所得控除を受けられました。
     c)ひとり親
       一般の寡婦として、27万円の所得控除を受けられました。
       イ)合計所得金額が500万円以下
        特別の寡婦として、35万円の所得控除を受けられました。
       ロ)合計所得金額が500万円超
        一般の寡婦として、27万円の所得控除を受けられました。

    ④婚姻後配偶者と死別又は離別された男性
     a)扶養親族なし、又は子以外が扶養親族
       離別又は死別に伴う所得控除はありませんでした。
     b)ひとり親
       合計所得金額が500万円以下であることを条件に、寡夫として、27万円の所得控除を
       受けられました。

 (2)改正後

    ①女性
     a)ひとり親
       未婚か、婚姻後の離別、死別かにかかわらず、ひとり親の方で、合計所得金額が
       500万円以下の場合、35万円の「ひとり親控除」が受けられるようになりました。
     b)それ以外
       イ)婚姻後配偶者と死別された女性
        扶養親族の有無にかかわらず、合計所得金額が500万円以下であることを条件に
        従来と同様の寡婦として、27万円の所得控除を受けられます。
       ロ)婚姻後配偶者と離別された女性
        子以外の扶養親族がいれば、合計所得が500万円以下であることを条件に、
        従来と同様の寡婦として、27万円の所得控除を受けられます。

    ②男性
     a)ひとり親
       未婚か、婚姻後の離別、死別かにかかわらず、ひとり親の方で、合計所得金額が
       500万円以下の場合、35万円の「ひとり親控除」が受けられるようになりました。
     b)それ以外
       ひとり親以外の方については、従来と同様に、死別や離別に伴う所得控除はあり
       ません。

 (3)注意点

    改正前は、事実婚についての確認はなされず、戸籍上の婚姻関係に従って判定されまし
    た。改正後は、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」のような記載がされている、
    事実婚の方は対象外になります。

 (4)住民税

    住民税についても同様の改正が行われ、ひとり親控除は30万円、寡婦控除は26万円と
    なります。

 (5)適用年度

    所得税については、2020年分から適用になります。住民税については、2021年分から
    適用になります。


3 基礎控除などの見直し(2018年分税制改正、適用は2020年分から)

    以前にお伝えしました通り、2020年分から所得税の基礎控除などが改正になりましたので
    再度お伝えさせていただきます。

 (1)基礎控除

     基礎控除額は10万増加して48万円になりますが、所得の額が2,400万円を超えると
     減少するようになり、2,500万円を超えると0円になります。
     (下記の表をご参照ください。)

    

 (2)給与所得控除

     給与所得控除額は2019年までから一律10万円引き下げられました。
     上限額が適用される収入金額も従来の1,000万円から850万円に引き下げられ、
     その上限額も195万円に引き下げられました。(以下の表の通り)

    

     給与所得で年末調整を受けられる方は、基礎控除を受けるために、「給与所得者の
     基礎控除申告書」をこれまでの扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書、保険料控除
     申告書と合わせて提出していただくことが必要になります。

 (3)公的年金等に係る雑所得の控除

     公的年金等に係る雑所得の控除額は2019年までから一律10万円(注)引き下げられまし
     た。また、公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額について上限が
     設けられました。(以下の表の通り)
     (注)表に記載の通り、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が
        1,000万円を超えて2,000万円以下である場合は20万円、2,000万円を超える
        場合は30万円引き下げられます。

     a)65歳未満の方の場合
    

     b)65歳以上の方の場合
    

     更に、給与所得と公的年金等に係る雑所得がある方の場合には、給与所得控除と
     公的年金等に係る雑所得の控除の両方で控除額が10万円引き下げられることのないように
     調整が行われます。


4 おわりに

    未婚のひとり親の方については、これまで所得控除の対象外でしたのが、所得税・住民税
    とも適用されることになりました。
    また、婚姻後死別又は離別されたひとり親の男性の場合、従来所得控除が27万円だった
    のが、35万円に増額されました。
    一方、婚姻後死別又は離別された女性の場合、従来合計所得金額が500万円を超えても
    一般の寡婦控除は受けられましたが、改正後は合計所得金額が500万円を超えると適用
    対象外になりました。
    この結果、全てのひとり親の方に、同様の控除が適用されることになりました。
 
    また、基礎控除と給与所得控除、公的年金等に係る雑所得の控除については、一般の方は
    基礎控除とそれ以外の控除の増減が相殺されますので実質的な影響はありませんが、所得
    が高い方は、2019年までに比較した場合各控除の減額がありますので、ご注意ください。